なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

地元のツレの話(続き)

タイトルに惹かれて「ヤンキーの虎」を読んだ。この本に書かれているようなことを体現しているようなやつらと昨日飲んでたから、虎のイメージがクリアにみえる。

例えば、雀荘の経営者で、会社にいって競艇しかやっていないやつ。店のことは部下がきっちりまわしているから、暇なんだとか。とは言え客の賭けの代行もするからそれも仕事の一環か。キャバクラなんかもいまは仕事でしか行かなくなったらしい。田舎で一定の固定客がいてほとんど競争相手がいないから一人勝ちしている。風営法でやられるとかもありえるそうだけど、公的な機関とも暗黙の了解があって折り合いがつけられるのだという。

著者の言葉を借りれば、都市部の「ベンチャーの虎」にひけをとらないどころかそれにも勝る地方の「ヤンキーの虎」はたしかにいて、かなり稼いでいる。カネを稼ぐコツを経験的にわかっていて、勝つことへの執着心、仲間への愛着、裏切りへの報復、基本的に誰もが共感できる原理原則に従って、自分に嘘がなくシンプルに行動している。純粋に筋が通っていることしかしない。

経験的にわかっているということが極めて重要で、カネの回収の話で例えば「100円でも絶対に回収する、こういう商売ナメられたら終わりなので業界の評判が伝わると信用を落とす、100万でも100円でもなんら変わりはない」という考え方。机上でビジネスやるようなやつらは100円のために動く人件費のほうが高いからそれはしないほうがいいとかいう話になるかもしれないけど、それは完全に間違っている。商売は信用で成り立っていて、誰がどういう思いでカネを払うのかという心理を“経験的に”つかんでいる。

ギャンブルでいえば、そいつは競馬、競艇、競輪…ありとあらゆることをして年間億近く使っているらしいけど、1レースの掛金は20万までだという。比率の問題だけだから「カネ増やしたいなら、賭け金を増やせばいんじゃない?」と聞いてみたら、それ以上いくとヤバいというラインがあるという。これも感覚的に。ヤバいというのは、人生が終わるという意味で、ヤクザからもカネを借り、結婚式に乗り込まれ祝儀をその場で全部もっていかれ、親族の財産も全部抑えられ、自己破産してグルグルになるようなやつを何人も見ているから、どこまでいったらどうなるかということを“経験的に”知っている。

地域は、マネーゲームに近いことをやっている都市部のビジネスとは違い、数値に実態がある。エグいこともやっているけど、生身の人間を相手にちゃんとした商売をしていて、人間味のある相対取引をしている。見習うべきところはめちゃくちゃある。いろいろな人がいる都内では、ぼくはメンドウなことに巻き込まれたくないという心理から、距離感をおいて接することが多い。一方で、それこそ仲間とつるんで、地域に根を張り身内で固める、サポーターを増やすという戦い方もある。人としてあるべき状態はどうなのかを考えさせられた。

参考)藤野英人「ヤンキーの虎 ー新・ジモト経済の支配者たち」