なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

意思決定とガバナンス(続き)

社長は、顧客、従業員、経営者(役員)、株主の幸福量が最大になるように経営すべきだと思う。顧客や従業員が少ないうちは、社長の独断で会社だけがハッピーになるよう意思決定しても全体としての幸福量は保たれるかもしれないが、顧客や従業員が多くなるにつれ、売上は確保しても、周りのステークホルダーの不満をカバーしきれなくなり、全体の幸福量が落ちる、という局面がでてくる。一時的な不満であれば、利益がでれば解消することもあるが、慢性的に不満を抱えると組織の崩壊につながるリスクが高まる。小さな不満が日々の業務に影響し、積み重なってお金に響く。社内の雰囲気は誰もが感じ取るもので、その影響は無視できない。金銭的な意味だけでなく心理的な投資も、回収できないとマイナス方向に回転する。

人に頼るという行為は組織としての自律性を損なうし、外部の責任をとらない人間に主導権を握られるというリスクがある。恩は買わないほうがよい。小さな組織では、自分たちだけではどうしようもないのは事実。でもできるだけ自由の身でいないと会社の根幹を揺さぶられる。

「マネーの拳」はおもしろかった。ケンの名ゼリフ。

「商売の世界には道理があり、感情を優先すれば理屈が曲がり、理屈が曲がれば道から外れる。そんな商売は必ず失敗する。俺は人を幸福にするために商売している。」

「人の心という利息ほど高いものはねえ」

「自由を差し出したら二度と戻ってこねぇ」

このほかにもたくさんあるけど、ぼく個人としてはケンの資質に掴まれた。常に相手の思考を先回りして準備していること。本音と建前を切り替えるタイミングが交渉相手より早いこと。ボクシングのようにリングの上で正々堂々と闘うこと。正面突破。自分以外は信用していないこと。自分だけを信じているやつと組むこと。会社として外部に頼らない路線を貫いていること。お互いの思惑が違うのは見抜いたうえで、使えるところを使っていること。すぐに壊れる信頼や信用でつなぎとめていないこと。流動的な人間関係を前提としていること。会社という箱は、たくさんの異分子を包含しながら成り立たせなくてはいけないものだとつくづく感じた。ストーリー的には、個人の感情だけで動いていたあの井川さんが、商売の本質みたいなものを自分なりに見出して、決断したところがハイライト。

「あんたサルには一生敵わないわね」

補足)「回りくどい話はやめようぜ。あんたウチの会社を買収したいんだろ?」こんな交渉に憧れる…