なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

社長の仕事

外資系メーカーで社長を10年やられていた方と「固定費結構かかるでしょ」「毎月預金通帳をみるのが不安で、早くキャッシュリッチになりたいです」「経営者だからそこから逃れるのとはできないよ」という会話をした。社長の仕事とは数字とにらめっこすることなのか。社会人なりたてのころ誰かと「社長って日々何やってんだろうね、全く想像できん」という話をしたことを思い出した。少なくとも現場でオペレーションをしていないことはわかる。どこにいるのかわからないから何もやってないじゃないか。現場以外に仕事なんてないだろう(つまり社長は使えないただの飾り)という感覚からの発言だったと思う。視野がせまい。いまなら、その「現場」をつくること、何をして誰からいくら貰うのかを考えること、そもそも自分たちが何をすべきか、自分たちにしかできないことを考えること、など現場に関わる周辺整備も仕事だと感じる。現場が今だとすると、社長はその少し先の時間(できることならもっと先の時間も)をみて仕事をしている。逆にできてしまえば、お客さんと握ることができればあとはやるだけだから(そのやることも非常に大変なのだけど)だれがやってもお金は入ってくる。営業かと言われるとそうかもしれないが、すでに売るものが決まっている場合には営業もひとつのオペレーションにおとしこめる。これが外向きの仕事。それから内向きの仕事として、人をどうするとか、事務的な手続きを誰が処理するとか、事業をするうえで逃れられない雑務も山ほどある。特に人の問題はずっとついてまわる。「あなたが雇われたのも人事計画をたてた人がいて、新人の募集をかけて、会社説明会をして、応募者に案内して、採用面接した人がいて、採用した人がいて、それらにかかわる会場手配やらメール電話連絡やらのロジもやっていて、それにどれだけの人が関わっているか、それを考えて実行させているのが社長の仕事でもあるんじゃない?」と10年前のぼくに言いたい。

社長の仕事は総じてキャッシュインとキャッシュアウトに関わる全てとしか言いようがない。入出金はハードなのでもっとソフトな(人の心理に配慮した)ことも、むしろソフトなことのほうが必要な気もしている。多面的にみることができないとできない。片側の情報しかないと、それと自分の知識をつなぎ合わせて誤った判断につながる。判断を誤ればその分損失がうまれる。時間的にもお金的にも。冒頭の元社長は、この時給だったらこれくらいしか人件費に使えないのだなと察してくれたが、多くの人は自分の評価はこの程度かと否定的な見方をする。おそらく払う側の立場にならないとその感覚はもてないと思う。人件費なんて相対的に決められるから、市場価格なんて決まったメジャーがあるわけでなく、そいつにいくら払ってもいいと思えるかの妥協点でしかない。心理的に決められる。余談だが、社長はいくらもらうべきかという自分の給与問題はいまだにこたえがない。社長の仕事とはなんなのか。「決めること」が仕事だという人もいてそのとおりだと思う。でもそれだけではない。