なにそれ経営者のブログ

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レガシーにのせるかゼロからつくるか

楽天の個人口座を数年ぶりに開こうとしたら、口座番号やパスワードがわからず、結局本人確認できるまで使えずというめんどくさいことに。そして銀行から書留のハガキが送られてきて返信してくれという…LINE PayやApple Payなど電子決済サービスに関わっている方々は、「各国で法的な制約があり、特に日本でいま提供できているサービスは、我々が望んでいるインターフェースとは程遠い」と言っていたが、ユーザビリティの観点で本人確認のプロセスは象徴的。
ムカついたので調べたところ、そもそもKYC(know your customer)のルールは、2001年にBasel Committee on Banking Supervision(バーゼル銀行監督委員会)より公表された「Customer due diligence for banks」(銀行の顧客確認に関するガイダンス)がもととなっており、日本国内では「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」という法律で、確かに氏名、住所、生年月日の確認が義務づけられていた。

第四条 …当該顧客等について、次の各号に掲げる事項の確認を行わなければならない。
一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)

電子決済や仮想通貨は、データ的には単なるトランザクションの入れ替えだから取引コストが安いことがひとつのメリットだが、イニシャルな取引コストは現行法がネックになっていまだ高いまま。手数料などランニングコストも、銀行のバックオフィス含め、既存のシステムを維持しようとすれば必要経費となってしまう。銀行は、電気、ガス、水道などで採用されている「総括原価方式」に近い原価計算をしていると言っていた人もいた。さきほどの「我々が望んでいるインターフェースとは程遠い」とおっしゃっていた業界の方々は、ほんとうにたいへんな作業をひとつひとつクリアしていっておられ、頭が下がる。イメージ的には周りにビルが乱立し、複雑になり過ぎている首都高をなんとかしようぜというチャレンジに近い。レガシーなうえにものを建てようとすると、新しい仕組みは前提が違うので当然フィットしない。ルールは変えていく必要があり、ルールをゼロからつくるのとまた違う壁がある。アフリカなど金融システムがそもそも整備されていない地域のほうがビットコインの普及は早い、というのもうなづける。

参考)金融庁 バーゼル銀行監督委員会「銀行の顧客確認に関するガイダンス」2001/10/4
http://www.fsa.go.jp/inter/bis/f-20011004-2.html

参考)犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO022.html