なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

抑圧が行動を決める

「仕事の熱量は怒り」ということを以前書いたが「革命の裏には抑圧がある」ということことを國分先生がおっしゃっていた。モチベーションの源泉は怒りだとすると「どう考えてもおかしい、歪んでいる」という不条理は、社会や権力などによる一方的な押しつけからきていて、それを是正しようとする心の動きなのかもしれない。革命というと仰々しいけど、既存の枠組みが壊されて再構築されるときは、みんなの怒りが溜まって爆発するというエネルギーがないと一気に進まない。そもそもそんなめんどくさいことをあえてやろうとするのだから、そうとう溜まっているのは想像に難くない。怒りの矛先がどこに向くかというのは、昨今では血を流さずに選挙で意思表示ができ、その意味でトランプは国民の怒りの象徴とも言える。ひとの行動は、こうした社会的なうねりだけでなく、個人レベルでもやっぱりこの「突き動かされる何か」が背景にあるように思う。下ネタだが、思春期のときに親の目を盗んでなんとかおっぱいを見ようとする努力は、明らかに溜まっている。わざわざ遠回りしてパンチラが見えそうなタイミングを狙って、すれすれのラインを攻める。いま思えばそこまでするかというくらいのことをしていた。大人になってその努力を怠るのはエネルギーが不足していることにほかならない。國分先生によれば「自分のなかにあるコナトゥス、必然性を発見してそれに従って生きていくというのが『よく生きる』ということ」。深く掘っていって自分の置かれた状況正しく認識できれば、怒りの矛先が決められるし、なぜ自分が怒っているのかわかる。どういうことに怒りを感じるのかがわかれば、同時に自分がとるべき行動が決まる。

「社会には当然様々な抑圧がある。で、みんな嫌だって思ってるけど、なんとなくやり過ごしている。でも、みんなで同時に「本当に嫌だよね」ってなったらそれはもう革命なんですよね。別に僕は「革命起きろ」とはまったく思っていないけど、しかし、革命的な何かが起きるべき時に、抑圧によってそれが抑え込まれているなら、それは何とかしなければいけないと思います。そうした抑圧は必ず鬱憤として溜まって、どこかにー多くの場合は、子どもや社会的弱者にー向けられることになるわけですから。」

出典)國分功一郎×二村ヒトシ「この本は、単なるモテ本ではない。実践的かつ、真面目な倫理学の本である。」より