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人間はいまだにたし算とかけ算の関係すらわかっていない

中高生にわかるIUTの解説ということで加藤先生の講演を聞きに行った。感動した。なんとわかりやすい解説か。望月先生の論文がヤバいヤバいと騒がれているが、世界で理解できている人が数名という話ではなく、数学的にみてどれくらいウルトラC的な発想をしているか、ということが理解できた(気がする)。そしてご本人がおっしゃっているように、実は言われてみれば、"自然な考え方である"というメッセージも刺激的。

「私が講演の中で言いたかったことは、この『複数の数学舞台を駆使する』というのは、実はかなり自然な考え方なのではないかということです。」(加藤先生のtweetより)

 

以下、記憶を頼りに起こしたメモ。

○人間はいまだにたし算とかけ算の関係すらわかっていない!

たし算の世界とかけ算の世界は複雑に絡み合っていて、ABC予想とは、その関係性を表したもの。a+b=cの関係で、a*b*cを素因数分解して、べき乗を1にしたときの数をdとすると、cとdを比べたとき、ほとんどdが大きくなる(cが大きくなるのは有限個しかない)。

たし算とかけ算が混ざると難しいことに関しては、…例えばどれくらい素数があるのか、素数素数の間はどれくらい離れているのか、2を足したら素数になるのか(双子素数)…ABC予想とは、まさにこの類で、たし算の世界とかけ算の世界の関係を示しているから難しい、というところから話が始まり。

フレンケル教授が白熱教室で使っていた「学校で教わる数学は、完成図のあるパズルをとくようなもの」、「研究する数学は、完成図のないパズルをとくようなもの」という比喩を用いて、IUT理論は、本来は(異なる舞台にそれぞれいるので)ぴったりハマらないはずのパズルのピースを、別の舞台に行き来させることによって、ハメてしまおうというもの。ただし、舞台が違うので、共通していえることといえないことがあって、じゃあ舞台間で、どれくらい違うのか「その歪みや不定性を評価しようとしている」。例えば、日常生活における女優と舞台上の女優。同じ人なのに舞台では話しかけられないし、握手もできない。何が共通した性質で何が共通しない性質なのかと。

○異なる舞台を接続する通信手段として、モノではなく、対称性を用いる!

ここで、モノではなく対称性に注目して群の話を少々。モノには対称性という性質が備わっていて、三角形を120度回転させれば重なるし、1点を固定して折り返せばやっぱり重なる。モノに備わっている対称性は、例えば三角形ABCなら、そのまま、右120度回転、左120度回転、頂点Aで折り返し、頂点Bで折り返し、頂点Cで折り返しの6つに閉じており{e、σ、σ^2、τ、στ、σ^2τ}などで表現され。この対称性さえあればモノとしての三角形がなかったとしても、対称性から三角形を復元できるという発想。さらに、異なる舞台に送る対称性の情報が少ないとうまく復元できない(三角形は3点しかないのでもとのかたちに復元しにくい)が、複雑であればあるほどもとのモノに近い状態まで復元できる。IUT理論は、限られた通信手段を用いて計算方法を伝達しており。モノに備わっている対称性を分離、通信、復元することによって、たし算の舞台とかけ算の舞台でやりとりしている。専門的には遠アーベル幾何などいくつもの理論のうえに成り立っていて、実際には"それなりに高級"どころではない理論が展開されているものの、何がどれほど難しいのかなんとなくわかった気に。気持ちよくなっていたら、最後にこのアニメーションを見せられ
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/IUT-animation-Thm-A-black.wmv
…はい。なにもわかっていません。