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仕事と彼女と人生観

イメージできないものを概念で理解するということ

ベルンハルト・リーマンの1857年論文における被覆面の記述(*1)は、概念を起点とするリーマンの思想がよく表れている。多価関数の解決策としての被覆面はかなり直観的。例えば、f(z)=√zは一つのzに対して二つのf(z)が定まる。w=f(z)として、複素数平面zからwへの写像を考えると、単位円でzが二周する間にzに対応するwは一周しかしない(z=iのときw=±(1+i)/√2、z=-1のときw=±i)。ここで倍速のz平面が二枚重なっていて二周目は二枚目に突入すると考えると、w平面とぴったり重なる。そしてちょうど二周したときに最初のスタート地点に戻す。ここは自己交差していないと思い込む(接続面は可視化できない)。以下に、リーマンの言葉を以下に引用する。

「多くの研究、わけても代数関数とアーベル関数の研究のためには、多価関数の分岐様式を次のようにして幾何学的に描出するのが適切であろう。(x,y)平面において(x,y)平面とぴったり重なり合うもう1枚の面が(あるいはある限りなく薄い物体が(x,y)平面の上に)広がっている状勢を心の中に描いてみよう。ただしその面は関数が与えられている範囲にわたって、しかもその範囲に限定されて伸び広がっているものとする。したがって、この関数が接続されていくと、それに伴ってこの面もまた延長されていくことになる。(x,y)平面の、この関数の二通りまたはいく通りもの接続が存在するような場所の上では、この面は二枚または幾重にも折り重なっている。そのような場所の上では、この面は二枚またはいく枚かの葉から構成されていてそれらの葉の各々は関数の一つの分岐を表している…多価関数はその分岐を上記のように描き出す面の各々の点において、ただ一つの定値を持つ。それゆえその関数は、この面の位置についての完全に確定する関数とみなされるのである。」

ウィキペディアの図がきれい。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/リーマン面

*1: 加藤文元「リーマンの数学と思想」共立出版