なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

時間と身体の連続性

物事にほとんど因果関係はない、ということに関して、あたかもそれが理由であるかのように後追いで「適当に」繋げて考えてしまうのが人間だと思う。一人の人間が主観的に判断してしまうことと時間は連続であることが影響している。身体と時間は切り離せない。無意識のうちに多くのことを繋げてしまいあたかもそれらしい仮説をつくる。
経済学の観点で科学的に示したのがダン・アリエリー先生で、心理学と経済学を結びつけ、頭ではわかっているのに合理的な行動はとらないよねと指摘した。2008年に刊行された「予想どおりに不合理」は誰もが「そうだよね」と共感できる内容でベストセラーになり、行動経済学という言葉もメジャーになった。
自分はどこまで、恣意性を排除できているのだろうか。偏見・利害・恣意はできるだけ避けようと意識しているつもりだったけど…

『かつてアレクサンドル・ルリアという心理学者が旧ソ連ウズベク共和国とキルギス共和国の奥地で興味深いフィールドワークを行ったことがある。彼はそこで、読み書きのできない住民たちに、次のような質問を投げかけた。「極北の降雪地帯にいる熊はどれも白い。ノヴァヤゼムリャは極北の降雪地帯にある。さて、ノヴァヤゼムリャにいる熊は何色でしょう。」すると、典型的な回答はこうだった。「わからないわ。黒い熊なら見たことがあるけど、他は見たことがないから…。」』*

少なくとも「ノヴァヤゼムリャにいる熊は白い」と安直に答えるのではなく「熊の色はわからない」とこたえられる選択肢も持っておきたい。どんな前提も置かずニュートラルに思考しているようでいて、じつはぜんぜんそうじゃないかもなぁと。

* )森田真生「新潮」(3月号)「計算と仮説」