なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

小坂

東京駅の雑多な人混みのなかで、ひとりスーツケースを転がしながら歩いているおっさんがいる。とくに特徴のないどこにでもいるようなおっさんだ。ぼくは対面にいて、おっさんはこちら側に向かっている。ぼくはそのおっさんをみようとしていたわけではなく、たまたまそのタイミングですれ違っただけだ。ちょっとした角度のある小坂がありすれ違った。おっさんはふとひらめいたき、スーツケースを手放した。そしてころころと転がしながらすぐさまキャッチ。その瞬間の「おっ!」という表情が忘れられない。誰がみているわけでもなく、でもやりたかったんだろう。ミッションを達成したあとの満足そうな顔。どうでもいい。ほんとにどうでもいいのになぜかとても穏やかな気持ちになった。わかるよ。うんうん。すれ違いざまに目があって気まずそうな顔。ぼくもなぜかみてはいけないものをみてしまったかのような気分に。日常にかくされたほっとする瞬間。