なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

クアトロ・ライフ

「豊穣の海」の舞台を観にいった。前知識なく行ったので四部作で時系列通りかと思いきや、春の雪の冒頭からいきなり天人五衰にとんで、ああなるほどこうやってスクランブルに進行して行くのかと斬新な構成に驚く。セリフはほぼ完璧に原作を再現していて気持ちがいい。後から知ったのだけど、本多繁邦の老年期を演じるキャストは笈田ヨシさんで御年85歳!。また演出はイギリス人のマックス・ウェブスター。マックスは「私は"三島"という神話を知らずにこの作品に取りかかったので、シンプルに人間ドラマを描こうと思っている。日本人と違って、三島の影におびえずに済むのは有利だ」(*)と言っている。確かにそこは私たち日本人の感覚とは異なる三島像があり、だからこそ人間の醜い部分や美しい部分が切り取られてピュアに表現されているよう。また、別のインタビューでは三島の言葉で「When you see the something truely beautiful , it’s like suddenly happened drop ink put into water.(人が真に美しいものを目にするということは、水面に突然インクが一滴落ちるようなものだ)」(**)とも。すぐには受け入れられないけど後からじわじわとくる。何かわからないけど何かが自分に刻まれる。そんな感じだろうか。異物感があるのはやっぱりいい作品ですっと飲み込むことができない心地よさがある。デュアルライフとかトリプルライフとか、人は同時進行でいくつもの人生を演じ分けているといえばいるので不自然さはない。そんな単純ではないけど、それを1人の人間によって導いて、3つのホクロでわかりやすく4人が繋がっている。「又会ふぜ、きつと会ふ。」のポスター、世界観がとても好き。

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* 初の舞台化! 三島由紀夫豊饒の海』で向き合う「生と死」、そして「美」
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** 「豊穣の海」マックス・ウェブスター インタビュー  https://youtu.be/ukxasxruq38