なにそれ経営者のブログ

仕事と彼女と人生観

戦術的ファールと国民性

ベルギー戦のカウンターを分析したNHKの番組(*)。ロスタイムのコーナーキックで、キーパーにキャッチされ一瞬下を向いた吉田とキーパーがキャッチする前からカウンターを狙って走り出していたデプロイネ。スラムダンクで花道が言ったあの「戻れ!センドーが狙ってくるぞ!」(**)を彷彿させる。キーパーからパスを受けたデプロイネは、トップスピードで走り出してドリブルのリズムを変え、山口蛍をはがす。緻密。マンチェスターシティでペップからの信頼も厚い。世界最高峰の選手。ゲームでの存在感が半端ない。ワンプレーの質。いわゆる世界との差。14秒を分析したコメントでオシムがファールしてでも止めなかったことについて「日本人の国民性」と評していた。たしかに吉田選手も自分はイエローをもらっていなかったからキーパーにあたって止めることもできたと語っていたが身体は反応していない。とっさの判断でそれができるかどうか。どれだけサッカー脳を鍛えたとしても、論理的に理解できたとしても、ぎりぎりの状態だと、性格的に戦術的ファールを許容できない(どこかで心のストッパーがかかる)のが確かに日本人かもしれない。勝ちにこだわると言いながら、とるべき手段と選択は、選手個人の倫理観や正義感が多分に影響する。やっていいことと悪いことがある。現代サッカーではファールして止めることは当然だとされているらしいが、果たして日本人は何も感じず、削りにいけるか。若いうちから欧州でプレーしている選手たちもそういうしたたかさは当然理解しているはずだ。とはいえ、戦術的ファールは、ファールであり、下手をすれば相手選手に、致命的な怪我を負わせることにつながる。意図的にファールすることの是非に正解はない。ただ、ファールすること、または、しないことのどちらかを美徳とするかは、たしかにオシムの言うように国民性がでる。デプロイネが速すぎて(***)削ることすらできなかったのかもしれない。西野監督は選手たちに「ロストフの空を忘れるな」と言ったらしい。次のワールドカップまでに日本の選手たちがどう変わっていくか楽しみではある。

* ロストフの14秒日本vs.ベルギー 知られざる物語 http://www6.nhk.or.jp/special/sp/detail/index.html?aid=20181208_2

** スラムダンク 21巻

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*** 番組によると、このときデプロイネの速さは30km/h 。1km2分、つまり、100mを12秒のスプリントをしたことになる。