明るさ(2)
ジュリアンオピーの日本八景シリーズ「真鶴半島の上の月」は光が確かに描かれていて物理的に眩しくはないが雰囲気がある。映像のインスタレーションでここまでできるのか。デジタルの絶妙なコントラストで夜の街灯り、月の灯りが感じ取れる。確かにこういう風に見えているという情景を素直に切り取っていて。もちろん現実には及ばないが特徴を捉えシンプルに削られている。細部をみれば光のドット。国立近代美術館にある作品は2007年のものだから解像度もそこまで細かくない。でも解像度を最大限に使い切っていて丁寧に作り込まれており、心打たれる。最近ぼんやりとデジタルでの限界みたいなことを考えていたがおそらくいまならiPadでもかなり精緻な描写はできるであろう。よく考えれば浮世絵師もいかに2次元平面で自然の美しさを表現するかと超考えて線や色を決めていたと想像する。